100歳の秘密

2022-10-19

100歳の秘密東京大学大学院の中川恵一特任教授が、2022年10月17日の毎日新聞のコラムの中で100歳の秘密について書いていました。
「センテナリアン(centenarian)」という言葉をご存じでしょうか。100歳以上の長寿者を指す英語で「1世紀以上を生き抜いた」という意味があります。「百寿者」とも呼ばれます。

センテナリアンの数は、老人福祉法が制定された1963年には全国で153人でした。
しかし、1981年に1000人を超え、1998年に1万人を超えました。2012年に5万人を突破し、今年は9万526人(前年比4016人増)で、初めて9万人を超えました。
ゆとりを持って100年を生き抜くには、ある程度のお金も必要ですが、なんといっても、「100年もつ身体」が第一です。
センテナリアンを対象とした全国調査によると、野菜・果物、肉、乳製品、魚などを好き嫌いなく食べる傾向がみられ、体重当たりの摂取カロリーが70歳の人と同等という調査結果が出ています。


100歳の秘密もっとも、センテナリアンが病気知らずというわけではありません。東京都内に住む100歳以上の約300人を対象にした調査では、ほぼ全員が何らかの病気を持っていました。
最も多かったのは高血圧で、約6割が患っていました。一方、糖尿病の患者はわずか6%でした。70代の糖尿病の罹患率は2割程度ですから、センテナリアンに、いかに糖尿病が少ないか分かります。糖尿病が少ないことが、「人生100年」のポイントの一つといえるでしょう。

センテナリアンにはがんが驚くほど少ないことも分かりました。がん細胞は私たちの体内で毎日多数発生しており、その数は加齢とともに増えていきます。
しかし、免疫細胞が水際でがん細胞を退治してくれています。この免疫の働きがセンテナリアンでは強い可能性があります。
がんを2割増やす糖尿病がセンテナリアンに少ないことも、がんが少ない理由かもしれません。

がんが死因に占める割合は、年齢とともに高くなっていきますが、男性では65〜69歳がピークで、この年代では、がん死亡は死因全体の半分弱を占めます。
女性では55〜59歳がピークで、死亡の6割近くが、がんによるものです。がんで死亡する割合は、男性では70代以降、女性では65歳以降に低下していき、100歳以上になると1割にもなりません。
心臓病、肺炎、脳卒中、老衰といった、がん以外の病気が原因で死亡する割合が高くなるからです。
国の指針でも、がん検診の受診を「特に推奨する」年齢を69歳までとしています。センテナリアンをめざすなら、70歳までにがんで死なないことが大切でしょう。

配信 Willmake143


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